体験的教育改革論
教育 そのゆらぎと再生

石井昌浩 著
四六判 224ページ 定価(本体1,500円+税)
978-4-7619-0616-0 教師全般

高校中退の経験をもち、その後教育行政の現場で長く仕事してきた著者の実践をもとにした、「生きた教育論」を提示。


はじめに
第一章 混迷の時代を生きることの危うさ
  1. 子どもたちの戸惑い
    深い心の闇を抱えた子どもたち/子どもから遊び場を奪い続けてきた大人たち/ガラス細工に似て、もろく傷つきやすい子どもの心
  2. 道草のすすめ
    学校と折り合いの悪かった少年/高校中退、そして十七歳の上京/父と母のことなど
  3. 豊かさの中で失ったもの
    子どもをとりまく社会環境の激変/「集団主義」から「個人主義」へ/こらえ性を失った大人と子ども
第二章 生きることのリアリティの喪失
  1. 「新しい荒れ」の時代背景
    「高校全入」の光と影/個人主義の名をかたる自己中心主義
  2. かくも長き父親の不在
    「会社本位主義」に縛られ続ける父親たち/求められる父親の家庭への復帰
  3. いつの世も難しい子育てのサジ加減
    過保護、過干渉の母親/まず変わるべきは大人の側
  4. 「他律型社会」から「自律型社会」への文明史的転換
    マニュアルなき時代に問われる親と子の生き方/生きることの目当ての探求
第三章 人生、自分さがしの旅
  1. 人それぞれ、幸せの中身
    「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短い」―中島敦─
    複雑で矛盾に満ちた人間の存在/人生は予期せぬ出会いの積み重ね
  2. 人を終生引き寄せるふるさとの磁力
    季節を問わず心をとらえる風景
  3. 画家小松均と最上川
    ふるさとの自然への憧憬
  4. 歌人斎藤茂吉と金瓶村
    茂吉の、永遠に母なるもの、ふるさと山形
  5. 才能と呼ばれるものの正体
    自らの真価に目覚めた人のみが放つ輝き
  6. この小さな星、地球に生きる人間存在の不思議さ
    「宇宙の森羅万象について科学が説明できることなど無に等しい」―アインシュタイン―
第四章 いま親として
  1. かわいい子には旅をさせよ
    子どもを甘やかすことを愛情と勘違いした親たち
  2. 「透明な存在としてのボク」
    迷いの最中の思春期の子どもたち/存在感の薄らいだ子ども
  3. 飛び立とうとしないカメ虫
    飛べないと思い込む心の呪縛から解き放つ道/メリハリのある子育てから生まれる心の豊かさ
  4. 子どもを育てる「苗床」の衰え
    二つだけある、学校が親にまさるもの/「万能の教師」は親をおいてほかにない
  5. 曲がり角にきた学校
    今や自明のものでなくなりつつある学校の存在理由/触れるものすべてが黄金と化した、ギリシャ神話『ミダス王の悲劇』/授業こそ学校の役割の中心
  6. 素顔を見せなくなった子どもたち
    仮面をつけたまま孤独の淵に沈む子どもたち/放課後の居場所づくりの試み/「子どもにしてすでに大人であること」の矛盾
  7. 親だけが子どもに伝えることのできる言葉
    親だってわからないことばかり/すべての失敗と挫折は、新たな出発点である/自信をもち自分流に飛び立つ勇気
第五章 人は何をめざして生きるのか
  1. 「入れる学校」から「行きたい学校」へとは言うけれども
    迷いの尽きない進路選択/これがベストと言える入試制度などあるわけがない
  2. 親の、わが子への二つの願い
    掛け値なしの本音ゆえに深い親の悩み/色あせてきた画一的人生コース/自立のために必要な「子別れ」の準備
  3. 果たして勉強は役立つのか
    勉強は未知の自分と出会うための基礎づくり/やる気の出た時がスタートの時
  4. ゴッホの習作から学ぶもの
    天才ゴッホはミレーの模写から始めた
  5. 最後の『祭文語り』
    『祭文語り』の灯を守り続けた執念
  6. 人生の主役としての自分
    ダメな人間と卑下する壁をどう乗り越えるのか/いじめは人間の業である/挑戦は、いつの日か必ず実を結ぶ
第六章 人の心に響く言葉
  1. 借り物の言葉、本物の言葉
    こめられた心のみが伝えるもの/写真集『ぼくのおにいちゃん』の不思議な力
  2. 言葉が熟成するまでの内なる発酵の時
    清酒のできるまで
  3. 言葉の背後にあるもの
    表現に値するものを育てるために要する長い時/「インドの貧しさより、日本人の心の貧しさの方が深刻である」─マザー・テレサ─
  4. 放哉と山頭火
    漂泊の歌人との対話
第七章 教育の原点とは何か
  1. 八丈小島の歴史
    消えた八丈小島
  2. 子どもの心に火を灯す教師
    書を捨て、町へ出よう
  3. 教え子から届けられる「先生の通信簿」
    子どもの天分を発見し、気づかせることのできる教師
  4. 教師に求められる資質
    もっと広く、もっと深く、人間理解を/道を極めたプロの技の秘密
  5. へき地教育の復権
    「辺境」が主役の時代がやってきた
第八章 学校教育の再生
  1. 学校の抱える問題の複雑さ
    「モラルなき子ども」を引き受ける学校の苦悩/社会のありようを根本から問い直す時
  2. 「学校たたき」の風圧に抗して
    放任主義と個性尊重は似て非なるもの/無いものねだりの学校批判から生まれるものは何もない
  3. 子どもは神様ではない
    子どもの現実を見ない建前論を克服するために
  4. 校長のリーダーシップ
    オーケストラの指揮者と校長/「組織された混沌」の演出/最後の決め手はやっぱり人
  5. 開かれた学校をめざして
    学校を何のために、だれに向けて開くのか/学校教育再生の道筋をオープンに論議すべき時/授業の公開が常識となる時代
  6. 学校教育の未来への展望
    学校・家庭・地域の協同こそ再生のカギ
  7. たじろぐことなく、若者よ誇り高く!
    今の大人が、子どもだった頃/「生きること」をおろそかにしてはいないか/誇りをもち、悔いなく生きるために
参考文献
あとがき
 

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