対論*教育をどう変えるか

寺脇 研 著
四六判 232ページ 定価(本体1,700円+税)
ISBN978-4-7619-0764-8 小・中・高教師・保護者

文部科学省審議官の著者が、各界の専門家とこれからの教育について考える、教育トークバトル。教育の現在・未来の課題を浮き彫りにする必読書。




まえがき
1 二十一世紀の学校のあり方を考える…寺脇研 VS 汐見稔幸・宮台真司
今、先生たちの集まりが「寒い」/外が変わっても学校は変わらない/これからの社会はだれもがリーダーに/現在の学校と社会のズレの意味をまず考えるべき/既存のシステム全体をつくりかえるためには/今は「学校を守って子どもを守らず」/若者に相対化されつつある「学校的なもの」/成熟化の流れに取り残された学校/成熟社会では自己決定が重要に/〈尊厳〉の二つの側面/「見苦しい人間」を育ててきた近代学校教育/「自立と相互扶助」の観点が抜け落ちた日本の幼児番組/外からの視点、キーワードは何か/教師よ、もっと危機意識を!/デモシカ教師が学校を救う!?/教師にはコミュニケーションスキルのほうがはるかに重要/「学校はなくなってもいい」というところから考えるべき/格差が広がってはじめて選択肢を手にできる/不易に固執してきた発想を変えないと
2 教育行政と現場…寺脇研 VS 山岸駿介
臨教審は「黒船」だった/パラダイムの転換と現場の受けとめ/「国民の自己決定能力を尊重する」立場で/「いいものをつくったから」の精神で/権限の明確な区分が必要/子どもの発達段階と生涯学習の関係が曖昧/生徒の自主性はどこまで尊重されるべきか/臨教審は「五五年体制」への愛想づかしだった
3 子どもの変化と地域社会…寺脇研 VS 尾木直樹
子どもたちの「新たな荒れ」/なぜ「キレる」のか/情報が増えてきた/学校のなすべきこと/子どもの自己責任/「開かれた学校づくり」とPTA
4 「不登校」問題の視点…寺脇研 VS 金澤純三
教育で一番大事なのは「社会性」の育成/行政や学校が変に自己規制しているのでは/子どもの学習権を認めることが前提になければ/教師が親よりも甘くなればいい/ドロップアウトした人にこそ多様な対応を/地域の教育力をどう発揮するか/資格を問わないのが一番の救い道/子ども以前に大人がすでにおかしい
5 「受験ストレス」と教育改革…寺脇研 VS 耳塚寛明
高校入試を全廃するくらいの覚悟で/果たして受験が「諸悪の根源」か?/「別の文脈」で教育を語りたい/主体的に勉強できる環境づくりをめざす/今ある現状をどうするかが最優先/「対症療法」なのか「構造改革」なのか/行政官も教師も国民に奉仕するパブリックサーバント/政策のチェック機能をどうするか
6 内と外から見た「学校」…寺脇研 VS 高木幹夫
教師を「縛っているもの」は何か?/学習指導要領は「自由」を奪わない/公教育と塾ではめざすものが違う/「目的との関係のなかでのストレスをどう処理するか」を学ぶ/塾を公教育を考えるヒントに/子どもたちが目標をもち得るかどうかがポイント/公立中高一貫校はどこに向かうか
7 教育改革と教師の主体性…寺脇研 VS 諏訪哲ニ
教師は力ずくでは動かない/改革の「推進役」となった文部省/保護者の意向だけが民意ではない/無制限に自由ではない教師の存在/現場と文部省のとらえる「現実」が違うのでは
8 「学校の市民社会化」と「体罰」…寺脇研 VS 藤井誠二
なぜ「体罰」はなくならないのか/市民社会全体の質を問う「体罰」問題/「官としての自覚」が足りない教師たち/本当に「体罰」=「教師の愛」なのか/いったん教師になってしまえば/健全な市民社会の形成に期待/もはや「善意」は物差しにならない
9 「開かれた学校」とPTA…寺脇研 VS 松永静子・山本由美・市川まり子
今、先生と子どもの関係が難しい/やる気ある教師を解き放すことが大事/最大のテーマは教師がどう変われるか/本当の親の気持ちが届いていないのでは/アイデンティティを失いつつあるPTA/父母が学校と対等に参加できるシステムを/職務とPTA活動の明確な区別が必要/学校の教育課程の一環として行われるものには対等に関われない/教師は自らを相対化して/学校を本当に「開く」ために/PTAは学校の下部機関ではない/意見が割れているからこそルールを/学校評議員制度の骨組みをしっかりと/議論への参加には責任が伴う/「けじめ論」が逆に働いた所沢高校問題/情報開示で平等な議論のできる場づくりを
10 学校の再生と教師の役割…寺脇研 VS 上田紀行
大人も存在が「透明化」している/教師の生き様から生徒は学ぶ/まず個の確立をめざすべき/「共依存関係」の悪循環/ノイズの切り捨て、効率化はもう通用しない/学校を外に開く好機の到来/現状維持は自信のなさからくる/本来の自由主義教育への回帰を/教師に問われる人間としての存在感/アィデンティティの確立が教師の魅力を引き出す/グローバルに教育の選択を考える時代に
11 「選択・責任・連帯」の教育改革…寺脇研 VS 橋爪大三郎
六つの改革案/成熟した社会における責任と選択/教育者なのか公務員なのかという課題/改革の原点に立ち返る/学校と学校外の教育関係/高校をシステムとしてどうするか/すべての高校を「総合学科」に/高校の「外部基準」が必要/国民の合意を得られるか/首尾一貫した改革案が必要/コミュニティの再生を
(注)