近代日本の私学と教員養成

ノン・エリート中等教員の社会史

太田拓紀 著
A5判 248ページ 定価(本体4,800円+税)
ISBN978-4-7619-2195-8  大学教員
戦前期、私学の高等教育機関がどのような中等教員を輩出し、彼らがいかなる経歴をたどり、戦前の教員文化になにをもたらしたのかを検証することで、近代日本の中等教員養成における私学の機能を明らかにする。

目次

 はじめに
序章 問題の所在
 1. 戦前期の中等教員養成における私学
 2. 先行研究の状況
2.1. 高等師範学校
2.2. 臨時教員養成所
2.3. 帝国大学
2.4. 文部省教員検定試験
2.5. 私学
 3. 問題の設定
3.1. 私学における中等教員養成史研究の課題
3.2. 問題の設定
第1章 私学の目的的な中等教員養成機関の生成過程と内部過程
 1. はじめに
 2. 中等教員養成の私学への開放過程
2.1. 私学への養成開放前夜―明治初・中期における中等教員資格制度―
2.2. 私学への無試験検定許可の背景と経緯
 3. 私学における目的的な中等教員養成機関の生成過程
3.1. 中等教員養成機関としての高等師範部
3.2. 文・理学系私学―教員検定試験の準備校―
3.3. 宗教系私学―教育の世俗化としての教員養成―
3.4. 法学系私学―総合化の一環としての教員養成―
 4. 私学高等師範部の設置要因
4.1. 中等教員需要の拡大
4.2. 学校経営・存続のための戦略
4.3. 非実学としての人文系と職業教育化
 5. 私学高等師範部の制度的特質と内部過程
5.1. 教員免許をめぐる文学部の二つの学生文化
5.2. 目的的な教員養成機関としての高等師範部とその文化
 6. まとめ
第2章 私学における中等教員養成機関の社会的評価
     ―私学高等師範部の入学時選抜と免許取得状況―
 1. はじめに
 2. 私学高等師範部における入学時選抜
2.1. 私学高等師範部の入学競争率
2.2. 入学時選抜の内実
 3. 私学高等師範部における免許取得状況
3.1. 無試験検定による免許審査過程
3.2. 私学高等師範部の免許取得率
 4. 私学高等師範部に対する社会的評価
4.1. 大正期の私学高等師範部に対する評価
4.2. 昭和初期の私学高等師範部に対する評価
 5. まとめ
第3章 私学出身者の中等教員就職過程とその変容
 1. はじめに
 2. 私学出身者の中等教員就職過程
2.1. 教員による紹介・斡旋
2.2. 学校の仲介
2.3. 自己開拓
 3. 中等教員就職状況と初任給の変遷
3.1. 明治後期の就職状況と初任給
3.2. 大正期の就職状況と初任給
3.3. 昭和初期の就職状況と初任給
 4. まとめ
第4章 私学出身中等教員におけるキャリアの特性―早稲田大学高等師範部の事例―
 1. はじめに
1.1. 本章の課題
1.2. 資料の性格
 2. 卒業生の職業分布
 3. 勤務先の中等学校
3.1. 学校種
3.2. 勤務先中学校・高等女学校の学校歴・規模
 4. 校長への昇進
4.1. 校長数・校長輩出率
4.2. 早大出身校長昇進者の事例
4.3. 中等教員社会と早大出身者の昇進機会
 5. まとめ
第5章 私学夜間部における中等教員養成機関の機能
     ―日本大学高等師範部の事例―
 1. はじめに
1.1. 本章の課題
1.2. 資料の性格
 2. 社会的出自
2.1. 出身者の地域的出自
2.2. 入学に至るまでの経緯
 3. 学生生活
3.1. 在学時の通学事情
3.2. 退学者数
 4. 社会的配分
4.1. 卒業生の職業分布
4.2. 教員としての移動傾向
 5. まとめ
第6章 昭和初期4私学の教員養成機能に関する総合的分析
     ―帝国大学・高等師範学校・臨時教員養成所との比較―
 1. はじめに
1.1. 本章の課題
1.2. 対象校選定の理由と対象の時期
1.3. 資料の性格
 2. 教職全体に占める中等教員の割合
 3. 勤務先の中等学校
3.1. 勤務先の中等学校所在地
3.2. 勤務先の中等学校種
3.3. 勤務先中学校・高等女学校の学校歴・規模
 4. 中等教員としての移動傾向
4.1. 校長への昇進
4.2. 地元への回帰
 5. まとめ
第7章 昭和初期中等教員社会と私学出身者の位置
     ―『学事関係職員録』を用いた給与・異動・昇進の分析―
 1. はじめに
1.1. 本章の課題
1.2. 資料の性格
 2. 給与の分析
2.1. 月給額の平均
2.2. 月給額の規定要因と私学
2.3. 昇給額の規定要因と私学
 3. 異動の分析
3.1. 異動状況
3.2. 他出の規定要因と私学
 4. 昇進の分析
4.1. 中等学校長と年給額
4.2. 校長の規定要因と私学
4.3. 奏任待遇教員と年給
4.4. 奏任待遇教員の規定要因
 5. まとめ
第8章 戦前期私学出身中等教員の教師像
 1. はじめに
 2. 教員社会からの排除と私学の学閥戦略
2.1. 教員社会からの排除傾向
2.2. 私学出身者の学閥戦略とその限界
 3. 象徴資本としての教師像
3.1. 早大出身者の対抗的教師像
3.2. 象徴資本としての教師像と私学界での位置
3.3. 私学夜間部というスティグマ
 4. 私学出身中等教員の教師像
4.1. 生徒からみた私学出身教員
4.2. 高師出身者のキャリアと教師像
4.3. 私学出身者のキャリアと教師像
 5. まとめ
終章 結論
 1. 考察
1.1. 戦前期中等教員養成制度の開放性と私学の多様性
1.2. 私学出身者の中等教員社会における周辺的位置
1.3. 教員社会での位置に基づいた私学出身者の教師像
 2. 課題

 引用・参考文献
 あとがき
 索引

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