教育の未来を見つめる 学事出版

書籍

思想としてのペダゴジー

思想としてのペダゴジー
普通教育・人間の教育・主権者教育を論じる

鈴木 剛 著

四六判 280ページ 定価2,970円(本体2,700円)
ISBN978-4-7619-2835-3
小・中・高校教師,研究者

「ペダゴジー=教育学」をキーワードに、大人と子どもの世代間関係の営みとして教育を捉え、論じる。「子どもの教育」とは何か、思想史的な背景もまとめる。

目次

はしがき

第1章 ルソーの教育哲学と「普通教育」―現代教育の必須アイテムを探る

はじめに

  1. ルソーとはどんな人であったか、そして『エミール』が今日注目される理由は何か
    1. 現代の危機的様相について―映画『バベルの学校』のシーンから考えること
    2. 戦後日本におけるルソー研究のパラダイムを踏まえて
    3. パンテオンに祀られるジュネーブ市民、「人間という身分」を追究する思想家
  2. 『エミール』をどう読むか
    1. 「自分のため」に生き、かつ「みんなのため」に生きる、自由な人間を育てるために
    2. 「人間の条件の研究」として「子どもの発見」(通説)をとらえ返す
    3. 「弱い」存在の幸福と「道徳的自由」
  3. ルソーの教育哲学から学ぶ―現代教育の必須アイテムは何か
    1. 制度・人間・教育という視角から
    2. 「人間の育成」と「普通教育」の概念

おわりに

第2章 ペダゴジーと世代―教育学は世代概念をどう扱うか

はじめに

  1. 世代概念に伴う二つの観点とその関連
  2. 世代間の「ライフサイクルの交叉」
  3. コミュニケーション哲学の視点から
  4. マクロな歴史学的視点から見た〈世代〉間関係と「教育関係」概念
  5. 「系譜関係」としての〈世代〉論とペダゴジー

第3章 「生を制定する」教育―ルジャンドルの「ドグマ人類学」から

はじめに

  1. 「個人―社会」の二項関係を超えて
  2. 「生の制定」と「規範」のトポス=理論的位相
    1. 表象と規範―ドグマ(学)は表象の問題に帰結する
    2. 主体と社会(あるいは文化)の構造的な相互帰属
    3. 三肢構造と言語の役割―規範とは権力である
  3. 「生を制定する」教育―〈モンタージュ〉による「限界のドグマ的構築」

結びに代えて―限界の構築と教育のイメージ

第4章 「大人」と「子ども」―「偉い」ということの意味

はじめに

  1. 大人のモラル、子どものモラル
  2. 「モラル」という《意味》世界
  3. モラル・自分・意味
  4. 意味と物語
  5. モラルと物語、あるいは物語のモラル

第5章 「法の人」としての「子ども」と〈世代の自治〉

はじめに

  1. 「グループ」と「掟」
  2. 「教育の場」と「法の場」―「法の人」へのアプローチ
  3. なぜ、一〇歳から「法の人」なのか―「思春期」と「公共性」
  4. 子どもの権利条約の「弱点」とは何か―「法的な人格」年齢規定の欠如
  5. 「生徒の自治」と〈世代の自治〉と―「法的な人格」への移行と葛藤のプロセス
  6. 〈世代の自治〉における〈世代間葛藤〉の契機をめぐって
  7. 〈世代の自治〉論の具体化方略の展望

結びに代えて

第6章 「主権者教育」論の陥穽と歴史的思考

はじめに―「主権者教育」の概念と問題視角

  1. 主権者教育か、有権者教育か?―政策動向にみる矮小化の傾向
  2. 立憲主義と憲法制定権力の「対抗と補完」
  3. 近代立憲主義と憲法第九条
  4. 憲法制定権力と「教育の力」―教育における「変革主体の不在」論に関連して

結び―主権者教育・メディア・公教育

第7章 学力・コンピテンシー・普通教育―変化が加速する時代の公教育の課題

はじめに

  1. 学力―その概念変容と学校機能の問い直し
    1. 「知識社会」の到来と学力観の変容
    2. 「学力」から「育成すべき資質・能力」への変換
    3. 「学力の三要素」と「主体性等の評価」―大学入試制度改革のなかで
    4. 「学士力」の登場
  2. コンピテンシー―その浸透と対応の方向
    1. 「〈新しい能力〉概念を飼いならす」
    2. コンピテンシーの〈背景〉と〈系譜〉
    3. PISAリテラシーとDeSeCoキー・コンピテンシーの関連―「学力低下」の論拠をめぐって
    4. 知識教育と社会階層格差
    5. 知識・情報・教養
  3. 普通教育―その理念と教育の公共性を考える視点
    1. 子どもの学力保障と普通教育―「世代の平等」としての共通教育
    2. 「学校的能力」としての学力の再考―その限定の意義
    3. 普通教育と学力
    4. 「普通教育」の理念と視点

おわりに

補論―普通教育について(覚書き)

あとがき