この連載について
この連載では、2022年12月に改訂された『生徒指導提要』や、国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターで行っている学校風土といじめに関する調査研究などをご紹介していきます。広く、学校で働く教職員、保護者、地域の皆様にお読みいただきたいです。なぜなら、子どもの総合的な発達は、学校や家庭、地域を子どもたちがどう認識し、経験しているかが重要になるからです。そのために、生徒指導が果たす役割、機能はとても重要なのです。

この連載について
この連載では、2022年12月に改訂された『生徒指導提要』や、国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターで行っている学校風土といじめに関する調査研究などをご紹介していきます。広く、学校で働く教職員、保護者、地域の皆様にお読みいただきたいです。なぜなら、子どもの総合的な発達は、学校や家庭、地域を子どもたちがどう認識し、経験しているかが重要になるからです。そのために、生徒指導が果たす役割、機能はとても重要なのです。
生徒指導という言葉を聞いて、どのようなイメージを想起するでしょうか。児童生徒に、服装や持ち物をはじめとした、学校の規則やルールを守らせるといった指導でしょうか。また、それらの指導が行われる際の「厳しさ」を連想する方もいるでしょう。そして、中にはそれらの指導をしていた体育の先生やこわもての先生を思い浮かべる方もいるかもしれません。想起されるイメージは、どのような学校教育を経験してきたかによって、様々でしょうが、上記のようなことを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
校則やルールを決めて、しっかりそれを守るように指導することや、時に行われる厳しい叱責などももちろん生徒指導に入ります。それらについて、一部の先生が中心となって行われる場合もあるでしょう。ですが、これらは生徒指導のごく一部を切り取ったものに過ぎません。今回は、2022年12月に改訂された『生徒指導提要』をもとに、あらためて生徒指導とは何か、学校教育においてどのような機能を果たすものなのかを確認していきます。
改訂された『生徒指導提要』では、生徒指導の定義と目的が明示されました。それらは以下です。*1
生徒指導の定義
生徒指導とは、児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う。
生徒指導の目的
生徒指導は、児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支えることを目的とする。
生徒指導は、1965年に、当時の文部省により刊行された『生徒指導の手びき』以降、その概念の本質的なところは変わっていないと解釈できます。児童生徒の個性の伸長と社会性の育成をねらいとして、全ての児童生徒を対象に、全ての教職員が、学校の教育活動全体を通して行う機能であることは、今回の改訂された『生徒指導提要』でも踏襲されています。つまり、上記の生徒指導の定義と目的の根底には、不易の生徒指導の理念があるといえます。
ですが、今回の改訂では、上記の生徒指導の定義に見られるように、児童生徒が主語として、生徒指導の定義がなされています。自分らしく生きることができる存在へと児童生徒自らが個性を開花させていくとともに、社会的資質・能力といった社会性を発達させていく一主体として、児童生徒が位置付けられ、定義がなされています。そして、教職員は、その成長や発達を「支える」存在であり、「指導」や「援助」を包括する総合的な概念として「支援」が使用されています 。*2。
このように述べると規律に関する指導や価値伝達的な指導などは、後退、もしくは、消失するのではないかとの質問や疑問が出てくるかもしれません。先にも述べたように、児童生徒を教え導くといった指導の概念は、支援に内包されています。子どもが生を受け、生まれ落ちることとなった社会は、すでに子どもの眼前に無条件に広がるものであり、選択の余地はありません。その社会を建設的に引き受けつつ、よりよい社会へと更新・形成していく主体となるには、大人側による適切な導きが必要であることはいうまでもありません。指導的側面の重要性を踏まえつつ、児童生徒の学力、社会性や感情面、進学や就業への準備といった諸側面の総合的な発達への支援として、生徒指導は再定義されたといえます。
生徒指導の本質を示すキーワード
| 対象 | 全ての児童生徒 |
| 教職員の基本的スタンス | 一人一人の児童生徒の人格の尊重 |
| 目標 | 個性の伸長と社会性(社会的資質・能力等)の育成 |
| 実施形態 | 学校の教育活動全体(教育課程の内外を問わない) |
つまり、生徒指導は、「個性の伸長」と「社会性の育成」という二軸を目標に据えつつ、児童生徒の全人的、総合的な発達を促すような支援の総体を表す概念であり、学校の教育活動全体に機能として作用 (生徒指導機能論)するものなのです。そして、学校にいる全ての大人(教職員)が担う実践といえます。



