この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。
だいぶ遅ればせながら、『THE FIRST SLAM DUNK』を観ました。原作の『SLAM DUNK(スラムダンク)』は、バスケットボールを題材にした井上雄彦さんの、1990年から1996年に『週刊少年ジャンプ』に連載された漫画(コミックスでは全31巻)です。映画ではその中のインターハイでの1試合である山王工業高校との試合を描いています。
ロングランヒットしたことからも分かるかとは思いますが、ただ漫画の焼き直しをしただけの内容ではありません。漫画は何度も読んでいるので、試合の結果や展開もよく知っているのですが、映画では漫画の主人公ではなかった選手の背景を描きながら試合が進んでいったことで、その世界観にぐいぐいと引き込まれていきました。彼がなぜバスケットボールを始めたのか、そして様々な困難に直面しながらも決して投げ出さなかったのかなどを知った上で歓喜の瞬間を見たときは、目頭が熱くなるものがありました。バスケットボールのコートには、10人の選手がいて、勝敗という結果は一つであっても、そこに生まれるドラマは10通り、いや、それ以上にあるのです。
原作が大好きな方も、漫画を見ていない方も、どちらも感動できる作品との評判ですので、よろしかったら観てくださいね。

小学校の国語の学習指導要領では、「日常的に読書に親しみ、読書が、自分の考えを広げることに役立つことに気付くこと」*1が大事であると書かれています。この読書は映画や漫画の鑑賞にも置き換えることができるでしょう。どれも自分が経験できない出来事を疑似的に体験させてくれたり、また経験できるような出来事も自分とは違う視点や考えから展開が進んでいったりすることは、 自らの考えを広げてくれるはずです。
実際に私も漫画を読む中で、努力の大切さ、失敗からの成長、目標への情熱、チームワークの重要性など、様々なことを学びました。そして、映画では新たに、多くの人が恵まれない環境や理解されない苦しみなどの様々な逆境を抱えていること、そんな中でもひたむきに頑張ることの大切さに気付くことができました。
また、視点を変えて見ることの重要性もこの映画から気付かされたことの一つです。小学校の道徳の学習指導要領では、「物事を多面的・多角的に考え」*2ることで道徳性を養うこととしています。そのために、様々な視点から物事の理解を促すことも重要であるとしています。
物事を多角的に捉えることは、個人や組織の成長や発展にとって非常に重要です。異なる視点を受け入れ、活用することで、より良い意思決定や解決策が見つかり、より豊かな経験や成果を得ることができます。
そういう意味で、学校教育を誰の視点で捉えることが大事かといえば、まず何よりも子どもの視点が優先されることでしょう。現行学習指導要領でもたびたび出てくる「何を学ぶか」「どのように学ぶか」の言葉にもよく表れています。教える側ではなく、学ぶ側に立って考えることを強調しているものと、私は捉えていますし、とても良いなと思っています。
そして、直接的に子どもの学びと寄り添う教員の視点も、子どもの発達段階や背景を考慮し、適切な支援を提供するためには優先されなければいけません。また、保護者や地域の住民の視点も必要ですし、国民の視点も大切なことです。ここで伝えたいのは、何を優先するかということではなく、様々な視点で捉えていくことの重要性です。それによって教育効果が高まることはもちろんのこと、それぞれにある役割と責任を自覚し、当事者意識をもって参画できる仕組みとしてのガバナンスの確立や、新しい考えや技術をもたらし組織を進化させるイノベーションも生まれることでしょう。
ところで、私は事務職員です。だからこそ、事務職員としての視点も大切にしています。控えめな性格の方が多い事務職員は、様々な人の意見や考えを聞いたり、多角的な視点を取り入れたりすることは、もともと得意であったりします。でも、事務職員としての自分らしさを主張することは、これまであまり得意とは言えなかったようにも思います。学校の基幹職員として、“つかさどる”ことを求められるようになったのですから、自信をもって自らの視点でものを語れるようになっていきましょう。
え? 難しい?
紹介した映画でも、こう言っていました。
“あきらめたらそこで試合終了ですよ”
前田先生からコメント
事務職員の標準的な職務にも示された学校教育におけるICTについて、事務職員の視点から捉えた書籍『教育ICTがよくわかる本』の発行に携わらせていただきました。それぞれに現場で実践されている事務職員の素晴らしい取組も載っています。学校の現状や、取組の背景、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、取組を通して実践者が学んだことなど、読み手にとって考えを広げてくれる本であると強く感じています。事務職員のみなさんの学びのきっかけとなること、そして、事務職員以外の方々には、事務職員との協働や、事務職員の活用を促進していただくきっかけとなることを期待しています。






