2024.09.04

第9回 「勉強は楽しい、勉強すると日常生活に役立つ」 子どもたちがそう思えるように|Web学校事務「事務職員と“学び”、事務職員の“学び”」

この連載について

全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

理科の先生と

 中学校に勤めていると、先生方と仕事の話をする機会は担当教科によって大きく違うように思います。中でも理科の先生は突出して多いのではないかと思っています。もちろん、どの教科の先生も生徒の学習への興味付けの工夫をそれぞれに凝らしていますが、理科の場合は特にそのための実験材料等が必要になるからだと感じています。

 例えば、熱分解によって二酸化炭素が発生することを学ぶ“カルメ焼き”を作るために使う砂糖は、最近では通販のおかげで手に入りやすくなりましたが、昔は教材屋さんに無理を言って調達してもらっていました。そういえば、ある先生から「“メントスコーラ”をやりたい」と相談をされたことがあります。その時どうやって材料を調達したのかは、その後にあったエピソードの印象が強過ぎて覚えていません。なぜなら、その実験では天井までコーラを噴出させてしまったのです。 きっと、生徒にとっては忘れられないものとなったでしょうが、実験後の掃除はとても大変でした。

実験は楽しい

 私自身も小学生の時は、担任の先生のおかげで理科が大好きでした。覚えているところでは、空気の重さを測る実験がありました。空のスプレー缶(だった気がするのですが)に空気入れを使って、みんなで交替しながら空気を注入していきました。その時に、先生からは破裂するかもしれないと脅かされていたものだから、臆病者の私は特に記憶に残っているのかもしれません。

 そして、小学生の力ではもうこれ以上は入らないとなったところで重さを測り、元の重さと比較して、どれだけの重さの空気が入ったかを確認します。その後、今度はスプレー缶から水中のビーカーに空気を入れて、何リットル入っていたかを確認し、1リットルあたりの重さを計算しました。その時は1リットル当たり1グラムくらいだったように記憶しています。その実験で空気にも重さがあることを学んだし、そもそも物体としての空気の存在を認識するようになった気がします。

 また、砂場で水を流す実験では、侵食・運搬・堆積といったことを学ぶとともに、水害の怖さも学んだ覚えがあります。その時は、護岸工事を行うような技術者になりたいと思っていました。

 そのように、担任の先生のおかげで、私はすっかりと理科好きになるとともに、科学が日本の未来をつくると本気で思った覚えがあります。

文部科学省の概算要求でも

 8月29日に2025年度文部科学省概算要求等のポイントが公表されました。その中では学校の指導・運営体制の充実に向けて事務職員の配置改善(30名)も示されています。そして、先述の理科については、「子供たちが、科学に対して興味・関心を持ち、科学的に探究する能力等を育成するためには、学習指導要領で重視する観察、実験の充実が不可欠」として、観察・実験にかかる理科設備等の充実や、そのための観察・実験アシスタントの配置等として21億円が計上されています。

 なお、国立教育政策研究所が示す「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)のポイント」では、小学生が「勉強は楽しい・得意だ」と答えた割合は、国際平均より上回っていますが、中学生が「理科を勉強すると、日常生活に役立つ」「理科を使うことが含まれる職業につきたい」と答えた割合は、国際平均より下回っているとのことです。このことから、理科に対する興味・関心を高めるとともに、その一歩先、例えば、科学的に探究する能力等の育成も課題となってくるのでしょうか。

 もちろん私たち事務職員も、先生方とのコミュニケーションを密にして、ともに子どもの興味・関心を高める授業づくりに尽力していきたいと思っています。大丈夫、今ならコーラですらも適正な手順で購入できるはずです、きっと。

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前田先生からコメント

 事務職員の標準的な職務にも示された学校教育におけるICTについて、事務職員の視点から捉えた書籍『教育ICTがよくわかる本』の発行に携わらせていただきました。それぞれに現場で実践されている事務職員の素晴らしい取組も載っています。学校の現状や、取組の背景、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、取組を通して実践者が学んだことなど、読み手にとって考えを広げてくれる本であると強く感じています。事務職員のみなさんの学びのきっかけとなること、そして、事務職員以外の方々には、事務職員との協働や、事務職員の活用を促進していただくきっかけとなることを期待しています。


全国公立小中学校事務職員研究会 会長。埼玉県嵐山町立菅谷小学校事務主幹。1967年生まれ。事務職員としての職務の傍ら、全国公立小中学校事務職員研究会(全事研)研究開発部長、副会長等を歴任し、2023年8月から現職。共編著に『スクールファシリティ・マネジメント――「学びの環境デザイナー」としての学校事務職員』、『教育ICTがよくわかる本――総務・財務をつかさどり、教育支援を進めるためのICT活用』(ともに学事出版)。
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