この連載について
この連載では、2022年12月に改訂された『生徒指導提要』や、国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターで行っている学校風土といじめに関する調査研究などをご紹介していきます。広く、学校で働く教職員、保護者、地域の皆様にお読みいただきたいです。なぜなら、子どもの総合的な発達は、学校や家庭、地域を子どもたちがどう認識し、経験しているかが重要になるからです。そのために、生徒指導が果たす役割、機能はとても重要なのです。

この連載について
この連載では、2022年12月に改訂された『生徒指導提要』や、国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターで行っている学校風土といじめに関する調査研究などをご紹介していきます。広く、学校で働く教職員、保護者、地域の皆様にお読みいただきたいです。なぜなら、子どもの総合的な発達は、学校や家庭、地域を子どもたちがどう認識し、経験しているかが重要になるからです。そのために、生徒指導が果たす役割、機能はとても重要なのです。
連載の第4回では、「児童生徒の学力や社会性、感情、身体といった全人的、総合的な発達を育むには、児童生徒が学校と家庭、地域それぞれをどのように認識し、経験しているか、すなわち、それぞれの学習環境の質が重要である」ことを扱いました。具体的には、学校や家庭、地域の大人から、子どもがあたたかみや思いやりを感じていること、また、その実感のうえで、しっかりと期待をかけてもらっていると感じていること、学校や家庭、地域の活動に主体的に参加する機会が与えられており、何かしらの貢献をしている(役に立っている)と実感していること、さらに、大人は自分を守ってくれる存在であると実感していることなどが挙げられます。
家庭と地域における学習環境を考える上では、学校が中心となって、家庭と地域に対して、学校教育のパートナーとして、ともに子どもを育てる当事者という意識をもっていただき、学校教育の諸活動に、できる限り、何らかの形で、参画していただくことが重要になります。そのために、一体どのような取組みが考えられるでしょうか。今回と次回は、学校が保護者や地域とともに、児童生徒を取り巻く包括的な学習環境を形成していくリーダーシップを発揮することの大切さと、その仕組み化について考えたいと思います。とりわけ、今回は、保護者の学校教育への参画について扱います。

海外(例えばアメリカ)でも、学校教育がしっかり機能しているかを検討する上で、「保護者の参画」(parent engagement)という観点が重視されています。これはいったいどういった概念なのか、学校風土に関するアンケート調査の項目から、そのイメージについて、確認することができます*1。
児童生徒側の認識としては、保護者が自分の学校での学びに関心を持ってくれていると感じるか、自分が宿題をしたかどうかしっかり聞いてくれていると感じるか、自分の学校生活のことを気にしてくれていると感じるかなどが挙げられます。つまり、保護者が子どもの学校での学びや生活に関心を持ち、学習のよき理解者、支援者になっていると子どもが実感していることに焦点が当てられているといえます。
保護者側の認識としては、学校が保護者の話を真剣に受け止めてくれていると感じるか、学校から歓迎されていると感じるか、学校での諸活動や取組について情報提供してくれていると感じるか、学校が保護者に求める役割についてしっかり伝えてくれていると感じるかなどが挙げられます。こちらについては、学校とのコミュニケーションや教育活動への参画の機会等について、保護者側がどのように認識しているかに焦点が当てられています。
ですが、社会環境の大きな変化の中で、共働き世帯も増え、保護者の学校への参画は難しくなっています*2。また、保護者の価値観の違い、生活環境の違いも大きなものになっており、時に、学校は保護者との良好な関係づくりに難しさを感じ、課題を抱えることもあるでしょう。例えば、いじめ重大事態の背景には、児童生徒間のトラブルを超えて、保護者同士のトラブルといった構図になっているという指摘もあります*3。
家庭も地域も一層多様化していく社会の中で、保護者や家庭との連携・協働は、益々困難になるかもしれません。ですが、学校は、子どもの教育をコアに、学校と家庭、さらには、それぞれの家庭を結ぶ紐帯になりうる存在であり、特に、保護者の参画は、学校のパフォーマンス(つまり、児童生徒への教育力)に大きな影響を及ぼす要因であるとすれば、保護者の参画への工夫や仕掛けは、前向きに考えていかなければならない大きなトピックであるといえます。


