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2025.04.23

第1回 よい授業って、どんな授業だと思いますか?| 悩みを解決する「教育書」~あなたによく効く書方箋~

この連載について

悩める先生方からいただいた日々の仕事の中で困っていること・助けてほしいことなどのお悩みに対し、処方箋…書方箋として教育書を紹介します!
コンシェルジュは、教育書を読み漁り、その蔵書は1000冊以上!という現役小学校教師・ りょー先生こと杉本遼さん。
ただただ悩みに合った書籍を紹介するだけではなく、りょー先生がその本から学び、実践してきた経験を交えながら、解決への糸口を見つけ出していく、まったく新しい実践的ブックレビュー企画です!! 


また、本連載では読者の皆さまよりお悩みを受け付けております!
りょー先生に相談してみたい!という方はこちらのフォームよりご応募ください!!

 

◉今回の質問

「よい授業って、どんな授業だと思いますか?」

先日、校内研究で校内の先生に授業を見ていただく機会がありました。「指導案通りに授業は進んだね。でも、スムーズに進めばよい授業ってわけじゃないから。」と言われました。「よい授業って!?」と思いました。先生は、どんな授業だと思いますか?

(ワタさん 小学校教員4年目 東京都)

1 はじめに・自己紹介

はじめまして。
2025年度4月から東京都の私立宝仙学園小学校で教員をしている杉本遼と申します。
3月までは東京都の公立小学校、その前は国立大附属の小学校で勤務していました。
道徳科や探究を中心に、研究・実践を重ねてきました。

このたび、学事出版さんのWEBサイト、「Web Gakuji」で連載をもたせていただくことになりました!

タイトルは、

悩みを解決する「教育書」~あなたによく効く書方箋~

です。

私は、教育書を1000冊以上所持しており、人から教育書コレクターと呼ばれることも…。
教育書を読むのはもはやライフワークといえ、新しいものから、古いものまでたくさんの教育書を読んでいます。

写真は、我が家の本棚です。表に見えているものだけでなく、
裏に2列・3列となっている段もあり、外に溢れている本もあります。

「Web Gakuji」で、月1回の1年間計12回。
フォームで募集し、いただいたお悩みや質問を解決するきっかけとなるような教育書を選りすぐり、「書方箋(しょほうせん)」として紹介していきます。
(「書方箋」として紹介するのは、学事出版の書籍だけでなく、どの出版社さんの書籍でもよいとしていただきました。さらに、その書籍を学事出版さんから、お悩みを紹介させていただいた方にプレゼントしていただけるそうです。学事出版さん…懐が深い!!)
※複数書籍ある場合はランダムで1冊プレゼントとなります

紹介する本は、やや難しかったり、古い本であったりすることもあるかもしれません。「How to」が書かれた本ではなく、一歩踏み出して授業や学級経営、教育について本気で考え、レベルを高めていきたいと思っている方に読んでほしい本を紹介します。
教育書を紹介するに留まらず、取り組んだ実践など私の経験や解説を加えながら、その本から学んだ大事にしたいことをわかりやすく書いていきます。楽しく読めて、授業や教育に対して考えるきっかけとなるような記事になるようにしたいです。
どうかよろしくお願いいたします。
 

2 今回のテーマ

連載1回目のテーマは、東京都の小学校の4年目の先生ワタさんからいただきました。

「よい授業って、どんな授業だと思いますか?」

第1回から、最難関…。
このテーマ…シンプルかつ根源的。深いです!

「よい授業とは?」…この問いに答えることは容易ではありません。
教師という仕事は、いい授業を問い、追究し続けるのが生業と言っても過言ではないでしょう。

「指導案通りにいったのに!」
「自分としてはうまくいったと思ったのに!」
協議会で、たくさんいただくご意見に頭グラグラ。

「じゃあ、どうすればよかったの!?」
「いい授業って、いったい何なんだー!?」
そう悲しい思いをすることが、皆さんもあるのではないでしょうか?

私は、よくありました。
しかし、あるときから何を言われても、学ぶことはあっても、必要以上に落ち込むことはなくなりました。なぜかというと…

悩みと疑問によく効く「書方箋」出しておきまーす!

3 書方箋

『よい授業とは何か』(学文社) 川田龍哉 著

この本では、「よい授業の背景に、その授業者の授業観、子ども観、教育観、学力観がある」と述べられています。
「観」とは、その人がどのように見ているか、捉えているかという見方や考え方のことです。
先人の実践者、研究者の言葉を引用しながら「授業とはなにか」「子どもとはなにか」「教育とはなにか」を論じ、「よい授業とはなにか」について考えています。

「先人の実践者、研究者?そんなの興味はない!」
「大事なのは今だから、過去から学んでいる暇なんてない!」
そう感じる方もいるかと思います。
しかし、今、当たり前となっている方法の数々のルーツは先人の実践や研究にあります。

最近、SNSなどで出されている情報には参考文献が示されていないものも少なくありません。出版された書籍であっても極端に参考文献が少ないものもあります。
しかし、発信者自身で思いついたものは多くはないはずです。どこかで聞いたり読んだりした情報を整理したり、自分の言葉のように書いたりしているのだと思います。そして、そのほとんどが歴史として積み重ねられてきた実践や研究の上に成り立っています。

この本には、「島小の教育」として有名な教育実践を主導し、日本の教師の原像ともいえる教師である斎藤喜博や、独創的な教材で子どもたちの勉強への意欲を引き出し、戦後の国語教育の基礎を築いた国語教師・国語学者である大村はまなど、多くの先人の実践者、研究者の言葉がオムニバス的に数多く引用されています。
非常に多くの参考文献が示されているため、「あの本読んでみたい!この人の本も読んでみたい!」と「推し」が見つかるかもしれません。

「よい授業とはどのようなものか」という問いに対する答えは、それぞれの教師のもつ授業観、子ども観、教育観、学力観によって変わります。
例えば、「先生の話を静かに聞き、板書をまじめに写すことで、子どもは知識を得ることができる」という授業観をもつ教師と、「多少ワチャワチャしたり、話がそれたりすることがあっても、子どもが活動することで子どもが納得して知識を得ることができる」という授業観をもつ教師とでは、「よい授業」のイメージは異なってくるでしょう。

ワタさんがくれたお悩みや質問は、この授業観・よい授業のイメージのズレから生まれたものだと考えられます。
私は、授業について何を言われても「授業観のズレが起こっているんだなぁー。きっとよい授業のイメージがちがうんだなー」と思えるようになりました。
相手の話を真剣に聞きます。そして、自分の意図や授業観を必死に伝えます。しかし、観のズレ・イメージのちがいがあると自覚することで、必要以上には落ち込むことはなくなったのです。
それは、たくさんの本を読み、学び、実践を繰り返してきた結果、観が育まれ自信となっているからかもしれません。

【ワタさんへの回答!】
「よい授業って…?」と疑問に思えたことが、今回の授業の大収穫です!今回感じた「モヤり」を忘れずに。
授業観のズレをぶつけ合う場も貴重な経験。
お互い、これからも学び、追究し、観を磨いていきましょう!

4 今、杉本の考える「よい授業」とは…?

「子どもも先生も楽しい授業」を創る!

私が「よい授業」として大事にしているのは「子どもも先生も楽しい授業」であることです。

「楽しい授業」に対し、「楽しいだけでいいのか!?」という意見もあると思います。
しかし、それでも私は、授業は楽しいことが一番大切だと考えます。
それは、楽しくなければ、頭も働かず、学習の内容が知識や技能として残り、働かないと考えるからです。また、学習に楽しさを感じなければ、自ら学んだり、学習に取り組むようになったりするようにもならないでしょう。
そして、子どもが授業を楽しいと感じるためには、子どもに先生が授業を楽しんでいる姿を見せていくことが重要だと考えます。

「子どもが楽しく学んでいるか?」
「教師も楽しんで授業をしているか?」
「楽しい」を一番に考えて授業をつくり、それ基準としながらリフレクションすることで、子どもにとってのよい授業を目指しています。

5 おわりに

『よい授業とはなにか』は、多くの先人の実践者、研究者の「観」も触れ、自分の「観」を磨くきっかけとなる1冊です。

教師である以上、今ある授業観に満足してはいけないです。授業や子どもなどに対する「観」を磨き続け、「よい授業」のイメージを更新していく必要があります。
そして、理想の「よい授業」のイメージを実現するために授業力を高めていきます。
観を磨き続けることと授業力の向上を両輪として、今後とも、よい授業をアップデートし続けていきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
文章を書きながら、今回紹介した『よい授業とはなにか』だけでなく、「あの本も!」「この本も!」と、数多くの書籍を紹介したくなりました。
次回以降は、いただいたご相談・質問について考え、観が育まれるような教育書の「書方箋」を、数冊ずつ紹介していくようにします。

来月もお楽しみに。ぜひ、またお読みください!

 

◉今回の書方箋
  • 書籍名:『よい授業とは何か』
  • 著者:川田龍哉
  • 出版社:学文社

◆りょー先生からひとこと
「よい授業とはどのようなものか」という問いに対する答えは、それぞれの教師のもつ授業観、子ども観、教育観、学力観によって変わります。
本書を通じて、いろいろな「観」があることを知り、お互い、これからも学び、追究し、観を磨いていきましょう!

「あなたのお悩み聞かせてください!」
杉本遼先生『悩みを解決する「教育書」~あなたによく効く
“書方箋”
~』連動企画!

この連載では先生の皆さまから学校での困りごと・悩みを募集しております!
日々の業務でもやもやしていること、子どもや保護者、先生間のやり取りで悩んでいることなど、なんでもかまいません。

例えば…

  • 児童それぞれの授業進捗に差が生まれていることに困っています。
  • 4月から新任教師としてちゃんと働けるか不安です。何から手を付けたらいいか分かりません…。
  • 保護者の方とうまく付き合うコツはなんですか? などなど。

ご採用された方には、連載にて書(処)方された書籍を1冊プレゼントいたします!
りょー先生に相談してみたい…!と考えていらっしゃる方は、この機会にぜひぜひご応募ください。


杉本遼

私立宝仙学園小学校
教員15年目
東京都公立小学校、国立法人東京学芸大学附属大泉小学校を経て現職。
日本道徳教育学会・日本道徳教育学会神奈川支部 学会員
道徳科を中心に、「子どもも先生も楽しい授業を創る」実践研究を行う。
教育書 1000 冊所持の教育書コレクター
学習サークル 運営・代表「【楽創】子どもも先生も楽しい授業を創る」
<主著>
・『Qの仕掛けで教材研究・パワー全開で道徳科授業』杉本遼(東洋館出版)
・『道徳的判断力を育む授業づくり』髙宮正貴・杉本遼(共著)(北大路書房)
・「子どもの問いからはじめる!哲学対話の道徳授業」杉本遼、町田晃大、髙宮正貴、藤井基貴(編著)(明治図書出版)
・『小学校道徳 発問組み立て辞典』杉本遼・髙宮正貴(共著)(明治図書出版)

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