2025.08.06

第20回 学びの環境整備と、学校マネジメント空間の拡張――第57回全事研(滋賀大会)を終えて|Web学校事務「事務職員と“学び”、事務職員の“学び”」

この連載について

全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

 滋賀県大津市において、7/31(木)から8/1(金)の2日間、第57回全国公立小中学校事務研究大会(滋賀大会)を開催しました。全国からたくさんの方が御来場くださり、オンラインも含めて、大盛会となりましたことを本当にうれしく思っております。御参加いただきました皆様に、改めて御礼を申し上げます。
 ここでは、私の視点から今年の全国大会の一部を紹介させていただきます。

共通了解

 開会式での挨拶で、私は共通了解の概念についてお話をさせていただきました。

 先日の参議院議員選挙では、SNSを活用した政党の躍進などの報道もされているところです。きっと、SNSはこれからの選挙には欠かせないものとなっていくのでしょうし、既に私たちの生活の一部になっています。しかし、そのSNSでは意見の対立なども多く見られますし、悪く言うなら誹謗中傷を多く目にしてしまい、辟易するなんてこともあるかと思います。

 その意見の対立に注目してみると、どこが違っているかということばかりが強調されているように思います。例えば、自分とは違う考えを言い負かして自分の意見を通そうとすることや、自分を守るために相手を否定して下げることなど。 そんな意見の対立からなにかを生み出すことができるでしょうか。私はできないと思います。建設的に意見を交換し合い、それぞれの考えを尊重していくなかで、みんなでより良いものを生み出していくことができると私は考えています。

 では、意見の対立ではなく、建設的な意見の交換としていくためには、どうしたら良いのでしょうか。私は、違いを強調するのではなく、“どこまでは一致しているのか”、“どこまではお互いが正しいと認識しているのか”という共通了解を見出していくことが大切なのだと思っています。

 そういった観点から、これまでの研究大会などの討議を振り返ってみます。例えば、共同学校事務室の設置についての討議なら、おそらく、事務職員の組織化の有効性は既に共有できているでしょう。しかし、既にある共同実施組織で十分で、名前を変える必要性を感じないという意見を聞いたこともあります。ぜひ、そんな方々と、どこまで一致しているのか、なにが有効であると感じているのかといった意見を交換する中で、今後が展望していけたら素敵に感じます。

 果たして、今大会では学びの環境整備をテーマに、そんな意見交換が2日間にわたり繰り広げられたものと思います。

開会式でのご挨拶

 

学校マネジメント空間の拡張

 全体研究会Iでは、“学校マネジメント空間の拡張”というキーワードが挙げられていました。これは、学校のマネジメントというと、カリキュラムばかりに注力されがちで、例えば財務、あるいは建物や施設・設備といったファシリティなどにおいては、前例踏襲と揶揄されがちで変化が期待されていないことや、ものが学校には多く存在するのではないでしょうか。それらについても、マネジメントが可能なんだという気付きを与え、それを戦略に結び付けることが“学校マネジメント空間の拡張”です。

 ご参加された方はいかがでしたでしょうか。事務職員はマネジメントしようとしていても、校長や教員が前例踏襲の考え方になっているなんてこともあるかも知れません。そこに気付きを与えてみようと、参会者の皆さんが思えるような全体研究会Ⅰであったことを願います。

 実はこれって、他のいろんなことにも置き換えて考えられるのではないでしょうか。よく、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる(エリック・バーン)」と言われますが、これもある意味では、マネジメント空間への気付きとも言えるでしょう。そんな気付きを得ることで(自分が変わることで) 、参会者の皆さんの未来が、事務職員の未来が変わっていくなら、こんなに素晴らしいことはないですよね。

会場の様子

 

実行委員長の閉会宣言

 全事研活動とは関係ないですが、一部の本部役員が全国大会期間中に琵琶湖畔を早朝ランニングしていました。きらきらした琵琶湖の輝きは、多くの人を前向きにもするようです。

 そんな琵琶湖の輝きは会場のホワイエからも出展ブースの背後に見渡すことができました。全事研コーナーにも、どの出展ブースにもたくさんの人だかりができていました。資料や製品を興味深そうに手に取ったり、話を聞きに行ったりする姿を見ることができました。

会場からすぐ目の前に見える琵琶湖

 

 また、学事出版さんのブースでは、編著者の方々も来場されていて、そこに交流も生まれていました。文字からだけでなく、声や人柄を通して、その本の価値に触れられるのは貴重な機会ですよね。

 そして、あっという間の2日間であり、実行委員会の方々にとっては汗と涙の約3年間の大会が幕を閉じました。これまでの思いを込めた倉辻弘美実行委員長の閉会宣言には、多くの参会者の、もちろん私も感動を喚起させられました。

 「この滋賀大会で得た学びと出会いが、来年の佐賀大会へとつながり、子どもたちと皆様のウェルビーイングの向上と、より良い学びの環境を創っていくきっかけとなることを願い、ここに、第57回全国公立小中学校事務研究大会(滋賀大会)の閉会を宣言いたします。本当にありがとうございました。」

 来年は佐賀でお待ちしております。

 

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前田先生からコメント

 事務職員の標準的な職務にも示された学校教育におけるICTについて、事務職員の視点から捉えた書籍『教育ICTがよくわかる本』の発行に携わらせていただきました。それぞれに現場で実践されている事務職員の素晴らしい取組も載っています。学校の現状や、取組の背景、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、取組を通して実践者が学んだことなど、読み手にとって考えを広げてくれる本であると強く感じています。事務職員のみなさんの学びのきっかけとなること、そして、事務職員以外の方々には、事務職員との協働や、事務職員の活用を促進していただくきっかけとなることを期待しています。


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