この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。
共同学校事務室の構成校である中学校へ体育祭のお手伝いに行きました。勤務校でないからこそなのか、お手伝いをしつつも、ちょっとだけ余裕をもって生徒や教職員の様子を見ることができました。懸命に走る生徒に、励まし合う生徒、応援に声を張る(だけでなく一緒に走ってもいる)先生、さらには応援に熱が入り思わず立ち上がってしまうような地域や来賓の方々も。体育祭に向き合うたくさんの人の素敵な姿を、お手伝いという立場でかかわったからこそ俯瞰して見ることができました。
ところで、その日は風がとても強く埃っぽかったため、競技の合間には誰が指示することもなく、グラウンドにじょうろやホースで水を撒く人の姿が見られました。残念ながらその水はあっという間にしみ込んでしまうため、次の競技の前にはまた水を撒くということが繰り返されていました。
そんな埃っぽい状態であったり、テントが飛ばされそうになったりする中でしたが、大きなけがをする人や熱中症になる人もなく、無事に競技を終えることができました。閉会式での団長(3年生)のあいさつでは、支えてくれた方々への感謝の言葉がありました。そして、中学校生活で最後の体育祭にかけた思いを熱く語るとともに、自分たちが担った役割を2年生にバトンタッチする後輩への言葉が送られました。

道徳の学習指導要領解説(中学校)では、「主として集団や社会との関わりに関すること」の「よりよい学校生活,集団生活の充実」の箇所で次のように示されています。「教師や学校の人々を敬愛し、学級や学校の一員としての自覚をもち、協力し合ってよりよい校風をつくるとともに、様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。」
団長のあいさつの言葉からは、受け継いできた校風をより高めて、次の世代につなごうとする意志が見えました。その中学校でしか培うことのできない経験を讃えるとともに、中学校(または集団)の一員としての役割と責任を果たすことの大切さを、後輩たちへ伝えようとしていました。改めて言及するまでもなく、体育祭が保健体育の指導のみとして行われていないことが分かります。体育祭を通して、「心身の健全な育成」とともに「責任感・協調性の涵養」等が図られているのです。
さて、体育祭の中でも、今回、じょうろを使った水撒きの姿は、特に印象に残りました。一見すると焼け石に水という言葉を連想させ、効率性として最適であったかどうかはわかりませんが、私にはその姿が、生徒も職員も連帯感を高めながら、体育祭の運営を一生懸命支えているように映りました。
このような地道で献身的な活動が、実際には日常的にも行われていることでしょう。それが体育祭をきっかけにして、さらに強化されていくと良いなと思いました。
私が小学生だった頃の運動会には、必ずお好み焼きや金魚すくいなどの屋台が並んでいました。祖母から聞いた記憶では、それ以前はもっとたくさんの人が訪れる地域のお祭り的な要素が強かったと聞いたように思います。競技においては中学校も含めて、組体操や騎馬戦が印象に残っていて、規律や連帯感が重んじられていたでしょうか。そんな風に覚えています。
私が学校に勤めるようになったり保護者として運動会や体育祭を見てきたりした中では、組体操が安全性の重視から縮小または取りやめられるようになっていきました。また、熱中症対策も厳格化されてきました。そして、最近ではコロナ禍での感染対策や近年の酷暑への対策として、競技数を絞り、午前中のみで終了する学校が多くなりました。これは保護者のお弁当作りの負担への配慮もうかがえます(改めて意識してなかったけど、タイパの向上?)。
さらには、全国的な傾向として、勝敗を競うというところから楽しさや自己表現への転換であったり、生徒主体の運営などもあったりするようです。実際に私がお手伝いした中学校の実況は生徒が行っており、とてもエンタメ性の高いものでした。
時代に応じて運動会や体育祭も変遷しています。でも、今回、私が見た体育祭では立ち上がって応援する地域の方々を見ることもできました。熱い声援を生徒たちに送っている地域の方々と、その応援を受けて頑張っている生徒たちを見て、改めて、私の祖母が語っていた地域のお祭り的な行事への回帰があっても良いなと思いました。
前田先生からコメント
事務職員の標準的な職務にも示された学校教育におけるICTについて、事務職員の視点から捉えた書籍『教育ICTがよくわかる本』の発行に携わらせていただきました。それぞれに現場で実践されている事務職員の素晴らしい取組も載っています。学校の現状や、取組の背景、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、取組を通して実践者が学んだことなど、読み手にとって考えを広げてくれる本であると強く感じています。事務職員のみなさんの学びのきっかけとなること、そして、事務職員以外の方々には、事務職員との協働や、事務職員の活用を促進していただくきっかけとなることを期待しています。


