この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。
『子どもの権利が満たされる学校へ』(福嶋尚子著)を読んでいて、中学生の時の出来事がふと蘇ってきました。
学校へ通うためのモノはきちんと揃えてもらっていたのですが、母に頼んでも買ってもらえなかったものがひとつありました。それは長袖の体操着です。入学時の購入品にあった体育関係のモノは半袖の体操着と短パン、冬用のジャージの上下だけでした。長袖の体操着なんてどこにも示されていません。ところが冬になると、体育の授業の時間にはジャージの着用は認められず、どうしても寒い場合には、入学時の購入品にはない長袖の体操着の着用が認められる――というよりも推奨されていたのです。でも、私は残念ながら買ってもらうことはできませんでした。
そして、冬が深まるごとに長袖の体操着を着用する生徒がどんどん増えていき、1月になると半袖の体操着で肘を抱えるように寒さをしのいでいるのはとうとう2人(私も含めて)となりました。ジャージを着て授業を行っていた教師は、私たちに寒くないのかと尋ねるとともに、親に頼んで買ってもらえば良いのにと言いました。そう聞かれたことはよく覚えているのですが、なんと返答したのかを記憶していません。寒くないと言ったのでしょうか、おそらく買ってもらえないとは言えなかったような気がします。
母に教師にも言われたことを伝え、改めて買ってほしいとねだりましたが、一人ではないことを理由に断られました。
原材料やエネルギー価格の高騰、円安を背景に、日本では食品や日用品を中心に物価高の傾向がますます強まっています。そのため、文部科学省では、「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減について(通知)」(令和7年6月25日)を示すことで、保護者負担の軽減を促しています。そして、具体的な取組みを促進するためにも、「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減策の事例周知について(事務連絡)」(令和8年7月17日)が新たに示されました。
その事例には、習字用具や算数セット、彫刻刀、裁縫セット、ものさし、鍵盤ハーモニカ、柔道着、辞典、そろばん、机の引き出しなどを学校備品として整備することが挙げられています。また、制服や上履き、体操着、通学バックなどの物品が学校指定である際には、その指定の見直しも挙げられています。そして、それらの物品の寄付を募り、学校備品として、また、希望者に貸与や贈呈するなどして再利用することも提案されています。ここではその詳細を全て載せることはできませんので、詳しい内容については、事務連絡にある「【別添1】学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減策の事例」に事例が掲載されています。こちらもぜひ御確認ください。
また、学校で備えるべき品目や数量の目安を示した「教材整備指針」に基づいて地方財政措置が講じられていることからも、補助教材や学用品等の在り方について、使用頻度や負担の妥当性等の観点で合理性・必要性を再考し、積極的に取り組むようにと示されており、そこには文部科学省初等中等教育局の強い意志を感じたところです。
ところで、学校教育法第19条には、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」とされています。これは主に要保護者や準要保護者に対する就学援助制度のためと考えがちですが、それに該当しなくても困窮している場合があるということも改めて理解しておきたいものです。
なお、先の通知文では事務職員や共同学校事務室にも言及されており、保護者負担軽減にあたっては大いに期待されていると考えます。

子ども期の我が家は決して裕福ではありませんでした。でも、食べるものに困ったことはありませんし、学用品も必要なモノは揃えてもらえ、高校受験の前には塾にも通わせてもらっていました。
母がお金の工面に困っているのを日常的に見ていましたが、給食費等の口座振替が不能となったのは、たった1回だけでした。その“1回だけ”を恥ずかしいと感じた自分を今でも覚えていますし、それを告げた時の気まずそうな母の顔も忘れられません。
長袖の体操着を購入するお金がどうしても工面できなかったわけではないと思います。でも、私が頼んだ時の言い方が良くなかったのかも知れません。あるいは、その時に別の出費が重なっていたのかも知れません。単純に母の機嫌が悪かったのかも知れません。母は覚えてもいないだろうから、今となってはそれを解明する手立てはありませんが。
また、私は学校へ通うための必要最小限のモノは持っていたし、清潔にもしていました。周りから見たらそんな私は貧しくは見えなかったのでしょう。だからこそ、教師は「親に頼んで買ってもらえば良いのに」と言ったのかも知れません。
冒頭に紹介した本で福嶋尚子先生は、「たまたま自分の周りでは起こらなかった、もしくは、起こっていても〈生きづらさ〉とは感じなかっただけで、こんなにも学校の中は〈生きづらさ〉で満ちている」と書かれていて、その一つが私にもあったことを思い出させてくれました。そして、これからの子どもたちにそんな思いをさせない仕組みづくりに努めたいと思いますし、できないことだとしても寄り添える自分でいたいと改めて思いました。
まずは文部科学省が示してくれた保護者負担の軽減策と向き合ってみたいと思います。
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前田先生からコメント
地域協働でなにが変わるの?そう思った方にお伝えしたい、ビックリするほど変わるんですよ。地域の方の中にも、子どもたちのためになにかしたいという思いが眠っているんです。そんな方々と協働できたら楽しいですよ。
でも、どうやって地域協働に関わっていったらよいのか、分からない。そんな方こそこの本を手に取ってみていただきたいです。やってみたら意外とできるかも?そんなきっかけを見出す実践がいっぱいです。




