2025.05.30

第2回 給与規程(1)──給与とは何か? とその原則|ヤナギサワ事務主幹と考える学校とお金の話

この連載について

 ①教職員の生活を支えるための〈給与規程〉、②子どもの学習環境を支えるための〈就学支援〉、③教育活動や学校運営を支えるための〈学校財務〉、この3領域を「教育財政領域」と定義し、これらにかかる法令や理念の解説と合わせて実践紹介などもしていきます。若手教職員をメインターゲットとして、ライト&フランクな連載にしたいと考えています。なお、本連載は「ヤナギサワ事務主査と考える──学校とお金の話」(全24回)の続編となります。

 それでは給与の話をしていきましょう。え? だれがいくらもらっているのかを暴露していくってこと? と思われそうな分野ですが、そういうことではありません。給与とは働くことにより、受け取ることができるお金であり、労働の対価ともいえます。教育財政領域の「給与規程」分野では、教職員など学校教育にかかわるひとびとの給与をピックアップして考えていきます。

給与とは何か?

 いきなり難しそうな問いと向き合ってみましょう。冒頭で説明したように「労働の対価」ではあるんですが、それに付随するような意義もあるのです。たとえば、教育法学者である兼子仁氏はその著書*1で「学校教師の労働条件や身分保障は、教師の人間としての生活条件であることに加えて、子どもたちが良い教育をうけるために必要な『教育条件』でもある[強調:引用者]」と説いています。

 労働条件を定めている労働基準法の第24条以下では、賃金にかかる定めがあります。そのため、賃金は労働条件の範囲であると説明することができます。──いや、賃金じゃなくて給与でしょ?! と思うひとも出てくるでしょうね。少々ディープな話ですが、「労働の対価」について労働関係法ではそれを「賃金」と表現し、公務員関係法では「給与」としています。そして、保険関係法では「報酬」ということもありますし、厳密にいえば、それぞれ若干の違いがあります。しかし、本連載では「労働の対価」ということを表現するだけに留めます。それでじゅうぶんです。

 話を戻しましょう。さらに兼子仁氏は、労働条件としての給与(=「教育条件」)を「子どもの教育をうける権利・学習権の保障」にもつなげています。そのため、給与とは「労働の対価」という教員に対する意義だけではなく、それがしっかり保障されることで、子どもに対する「権利保障」という意義も付け足すことができるといえます。

 ちなみに、給料と給与の違いって知っていますか? この連載でも使いわけが必要な場面も出てくるかもしれませんので、しっかり覚えましょう。給料とは、いわゆる基本給です。期末勤勉手当(ボーナス)のベースにもなってくるやつです*2。そして給与は、給料に通勤手当や扶養手当などの各種手当を加算したものです。式で表すなら、[給料+各種手当=給与]ということになります。給料明細書とはあまりいわずに、給与明細書と呼ぶのもそのためです。今月の給与明細をじっくり確認してみましょう。

給与の原則

 教職員の給与は、地方公務員法でその原則が定められています。地方公務員の給与は、第24条で「その職務と責任に応ずるものでなければならない」とされています。しかし、校長や教員はその特別法である教育公務員特例法により「職務と責任の特殊性に基づき」定めるとされ、その「特殊性」が給与に反映されています(第13条)。

 そのため、同じ学校で働く地方公務員でも、給与に関する原則は、校長や教員と事務職員で違ってくるところもあります。たとえば、校長は「教育職給料表」の4級が適用され、事務職員は「行政職員給料表」の職階に応じた級が適用されます。事務主幹ともなると5級以上が適用され、校長より高給なのだ! なんて冗談をいうときもあります(笑)。

 


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栁澤先生からコメント

「チームとしての学校」が叫ばれて久しい現代──「学校安全」も例外ではありません。学校環境や防災=管理職、安全教育=教員というように分類されやすい領域かもしれませんが、総務・財務をつかさどる事務職員の知見も「学校安全」には欠かせません。それを証明するような「学校安全」にかかる事務職員の実践が9本収録されています。そして、実践を補完する理論編、コラム4本と特別支援教育の視点による補論が置かれています。本書は、事務職員による「学校安全」テキストではありますが、管理職を含めた教職員全体、「チームとしての学校安全」テキストという構成です。子どもたちの安全をチームで守るために、お読みいただけたら幸いです。


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