2025.10.31

第7回 学校財務(2)──公的支出を考える|ヤナギサワ事務主幹と考える学校とお金の話

この連載について

①教職員の生活を支えるための〈給与規程〉、②子どもの学習環境を支えるための〈就学支援〉、③教育活動や学校運営を支えるための〈学校財務〉、この3領域を「教育財政領域」と定義し、これらにかかる法令や理念の解説と合わせて実践紹介などもしていきます。若手教職員をメインターゲットとして、ライト&フランクな連載にしたいと考えています。なお、本連載は「ヤナギサワ事務主査と考える──学校とお金の話」(全24回)の続編となります。

 10月ですね。早いものでこの連載も後半に突入ですよ。まぁ、今回も含めてあと6回で終わるわけがないので、セカンドシーズンそしてサード……と続けられるように応援よろしくお願いいたします。『ONE PIECE』が途中で打ち切られたらショックですよね!? (『ONE PIECE』と比べるな!)。また、連載の先取り研修をご所望でしたら、本研究室のコンタクトフォームよりご連絡ください。全国どこへでもいきます。さて、今回は前回(第4回 学校財務(2)──学校財務を捉える)の最後で少し触れた「公費」についてスケールを広げてみたいと思います。

公費=公的支出

 前回、公的支出のことを公費と表現し、その財源が税金であることも説明しました。では、そのつかいかたはだれが決めるのでしょうか。──自治体なら議会ですし(地方自治法第211条)、国なら国会ですね(日本国憲法第86条)。そう、国民の代表者が基本的な部分を決めるんですね。国の場合、内閣が予算案を作成し、それを国会で審議します。国務大臣が集まり行政権をつかさどっている組織として作成するわけですから、教育以外に環境や経済などとの調整も必要です。

 ちなみに、2025年度の国家予算(一般会計)≒115兆円(そのうち一般歳出≒68兆円*1)、そして文部科学省予算≒5.5兆円となっています。約8%が公的支出における教育費の割合です。毎年ニュースで「日本の公的教育支出は、GDP比で見ても子ども1人あたりで見ても他の先進国より低い」と報道されるやつですね。この問題はスケールが大きすぎるため、とりあえず触れません。

 さらに、文部科学省予算≒5.5兆円の中身も検討されます。文部科学省には文化庁とスポーツ庁という外局が置かれ、それらの予算も含まれていますし、省内だけでも初等中等教育局や科学技術・学術政策局などという編制があり、それぞれに予算もついています。また、政策にかかる予算の検討もあります。

 たとえば、学校給食費の無償化政策はホットです。無償化とは、与えたサービスに対して費用を徴収しないこと(私的支出なし)であるから、その分の公的支出が必要になります。現状でも、困窮者を対象とした無償化政策(=就学援助:選別的無償)はありますが、この政策はすべての子どもを対象とした無償化です(普遍的無償)。当然、後者は前者の何十倍もお金が必要なので、財源確保に奔走しなくてなりません。新しい税制度をつくる、税率をあげる、ほかの財源からつけかえる──など、収入も同時に検討されます。

 

学校に置きかえる

 学校のスケールにあわせて考えましょう。
 国会=議会では、もちろん教育費も審議対象ですが、色画用紙代○○円やボールペン代□□円のように細かいところまでは決めません。たとえば、小学校消耗品費総額:●●円、中学校備品購入費総額:■■円という範囲の審議です。国=自治体と置きかえれば、文部科学省=教育委員会事務局です。そのなかに学校教育課や文化課、スポーツ課などが置かれ、予算配当されます。各学校は直接予算が配当される立場にないため、学校教育課などの出先機関として配分されます。

 その後、教育活動が機動的かつ円滑にすすむよう、各学校で事務職員は予算を組み直します。このように学校財務担当者である事務職員は、教育課程(国でいえば政策)にそった執行をつかさどっていきます。予算が足りなければ要求したり、流用を請求したりもします。学校の公的支出を担っているのが、学校財務担当者である事務職員ともいえますね。

 


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栁澤先生からコメント

「チームとしての学校」が叫ばれて久しい現代──「学校安全」も例外ではありません。学校環境や防災=管理職、安全教育=教員というように分類されやすい領域かもしれませんが、総務・財務をつかさどる事務職員の知見も「学校安全」には欠かせません。それを証明するような「学校安全」にかかる事務職員の実践が9本収録されています。そして、実践を補完する理論編、コラム4本と特別支援教育の視点による補論が置かれています。本書は、事務職員による「学校安全」テキストではありますが、管理職を含めた教職員全体、「チームとしての学校安全」テキストという構成です。子どもたちの安全をチームで守るために、お読みいただけたら幸いです。


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