この連載について
①教職員の生活を支えるための〈給与規程〉、②子どもの学習環境を支えるための〈就学支援〉、③教育活動や学校運営を支えるための〈学校財務〉、この3領域を「教育財政領域」と定義し、これらにかかわる法令や理念の解説と合わせて実践紹介などもしていきます。若手教職員をメインターゲットとして、ライト&フランクな連載にしたいと考えています。なお、本連載は「ヤナギサワ事務主査と考える──学校とお金の話」(全24回)の続編となります。
この連載について
①教職員の生活を支えるための〈給与規程〉、②子どもの学習環境を支えるための〈就学支援〉、③教育活動や学校運営を支えるための〈学校財務〉、この3領域を「教育財政領域」と定義し、これらにかかわる法令や理念の解説と合わせて実践紹介などもしていきます。若手教職員をメインターゲットとして、ライト&フランクな連載にしたいと考えています。なお、本連載は「ヤナギサワ事務主査と考える──学校とお金の話」(全24回)の続編となります。
冬休みですね! 関東は夏休みより短いですが、年末年始の閉庁もあり長い「連休」になります。今年は最長で14連休ですね。ぜひ、余らせることなく年休の有効活用で長期休暇を実現ください。
あ、「余っている→消化」パターンは付与期間【1─12月】の場合だけか──最近、その消化ポイントを夏休みにもってくるねらいで【9─8月】もありますね。あと、【4─3月】の年度概念はわかりやすくて歓迎ですが、消化ポイントとしては弱いですね。
年休取得は、労働者の権利であると同時に「使命」でもあると考えています。さて、今月は公立学校の「使命」から考えましょう。
公立学校の使命は、「社会の格差を再生産しない」ために「社会の富を再分配する」ことだと考えています。日本のように資本主義国であるかぎり、社会の格差は生じます。しかし、教育を受ける権利は基本的人権の一部(社会権)として日本国憲法第26条第1項に定められていますね。
そのため、社会に格差が生じているとしても、それを学校のなかで再生産してはならず、すべての子どもにひとしい教育を提供しなくてなりません。──裕福な家庭の子どもとそうではない子どもを区別した教育活動なんてするわけがない──という声も聞こえてきそうです。
では、修学旅行費が未納の子どもに「払わないと連れていけない」と告げたことはありませんか? 法理念としては、家庭の経済状況と子どもの学習権保障は別次元にあります。──そうはいってもお金を払ってくれなきゃ支払いができない──というのも本心ですよね。
だからこそ、それを下支えする費用負担のありかたが「富の再分配」です。社会の富=税を機能的かつ効果的に再分配するという意味です。
たとえば、教育行政として就学支援制度を充実させることも「富の再分配」ですね。保護者の負担で買っていたものを公費購入に変更することも同じです。「富の再分配」により、家庭の経済状況にかかわらず、「普通教育を受けさせる義務」を履行できるよう要請しているのが同法同条第2項です。

こども家庭庁では、政策の柱として「こどもの貧困対策」をあげています。このあたりは次回にとっておき、今回は貧困の概念と現状を説明します。
貧困の概念に「絶対的貧困」*1と「相対的貧困」*2があり、日本で問題視されているのは後者です。現在、子どもの相対的貧困率*3は11.5%とされ、8人に1人が相対的貧困状態といえます。
子どもの貧困を感じる具体的な事例として、家庭の経済格差が起こした可能性を否定できない「修学旅行の前日に木から落ちて骨折し、当日は欠席した子ども」*4、家庭の生活習慣から健康格差につながる可能性として「朝食が食べられずに牛乳とパンを求めて保健室に行列をつくる子ども」*5の存在があります。
また格差の事例としては、「世帯収入とテストの点数は、ほぼ例外なく比例している」*6事実もあります。
今後は、具体的な貧困解消施策や就学支援制度を学ぶとともに、学校としてできること、ひとりの教職員としてできることを考えていきましょう。
栁澤先生からコメント
「チームとしての学校」が叫ばれて久しい現代──「学校安全」も例外ではありません。学校環境や防災=管理職、安全教育=教員というように分類されやすい領域かもしれませんが、総務・財務をつかさどる事務職員の知見も「学校安全」には欠かせません。それを証明するような「学校安全」にかかわる事務職員の実践が9本収録されています。そして、実践を補完する理論編、コラム4本と特別支援教育の視点による補論が置かれています。本書は、事務職員による「学校安全」テキストではありますが、管理職を含めた教職員全体、「チームとしての学校安全」テキストという構成です。子どもたちの安全をチームで守るために、お読みいただけたら幸いです。










