この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。

この連載について
全事研の役員となって事務職員の育成や成長ということを考える中で、学ぶことの重要性を強く認識しているところです。もちろん、体系的な研修制度も資質・能力を身に付ける上で大事ですが、まずは事務職員自身が主体的に学び、学んだことを生かして試行錯誤を繰り返していくことが必要だと感じています。「子どもの豊かな学びのためにも、事務職員として学び続けていきたい」。そんな思いで、私自身の経験から“学び”について考えたことを綴っていきます。
この4月から人事異動で同じ嵐山町の小学校へ勤務しています。中学校への勤務が長かったもので実に27年振りの小学校への勤務となります。児童との交流はこれからとなりますが、既に、中学校とはまた一味ちがった小学校のとても明るく元気な先生方の雰囲気に、少しだけとまどってもいます。
さて、『学校事務』の4月号はご覧いただけたでしょうか。私が勤務します嵐山町の下村教育長が「教育長・校長・事務職員でつなぐわが町チーム学校物語」を執筆されています。教員になろうと思ったきっかけから始まり、嵐山町の学校教育に対する思い、さらには共同学校事務室への期待も語ってくれています。ぜひ、読んでみてくださいね。
その中で、町議会の議場で行った児童生徒の意見発表会が紹介されています。これからの学校の在り方についての意見表明は、私たち大人の想像を超えて具体的で、希望に満ちたものでありました。彼らは単に「通う側」ではなく、学校を「ともにつくる側」であることが描かれています。その姿を見て、町として進めるべき教育の進路を、子どもたちが明るく照らしてくれているようだと感じたそうです。

「教育課程企画特別部会 論点整理(2025.9.25)」では、子どものより主体的な社会参画について、「18歳の社会参画に関する意識は改善傾向にあるものの、諸外国と比べると改善の余地が大きい」「10-20台の投票率は、約3割と低い状況が続いている」などと現状が示されています。
また、「我が国の学校教育の長所であるはずの協調性の涵養が、ともすれば集団性の協調に陥り、……『同調圧力』への偏りを生んでいる側面も指摘されている。また、意見表明の機会の確保や協働を通じた参画の機会は、多様性を包摂する教育の実現にとっても重要であるが、充分に整備されているとは言えない」などと課題も示されています。
それらを受けて、改善に向けた教育内容の充実としては、社会科・公民科を中心としつつ、関連する教科等のワーキンググループで、子どもの社会参画や意見表明を推進する観点からの検討が求められています。また、すべての教科等を通じて、自分の意見の主張に止まらない対話を含む「協働的な学び」の重視を訴えています。
そして、取組みを促進する方策としては、子どもの学校運営協議会への参画や、学校評価の評価・改善プロセスへの関わりなども示されています。さらに、地方公共団体の教育振興基本計画等の策定の議論にも、子どもの意見表明の機会を設けることなども示されています。まさに嵐山町での取組みはその足掛かりともなるものなのかも知れません。
社会参画とは、個人が社会の一員として、地域社会や組織の活動、政策決定プロセスなどに主体的に関わり、役割や責任を果たそうとする姿勢や行動のことです。役割や責任という言葉が出てくると少し重くも感じますよね。また、社会全体の課題に目を向けてしまうと、それは自分の手に負えることではない、とも感じてしまうかも知れません。
でも、目の前のことを変えることで社会全体を動かすこともあるのではないでしょうか。例えば、人種隔離政策が行われていた時代のアメリカ南部で、ある黒人女性がバスの座席を人種差別的な理由で譲らされることを拒否しました。その行動が、キング牧師らが率いる公民権運動へと発展して、最終的にアメリカ全土で人種差別を禁じる法律(公民権法)の成立へとつながりました。
まずは正しいと思ったことは、議場で意見表明した子どもたちのように、自分の言葉でしっかりと意見表明できるようになりたいですね。そして、できることなら行動も起こしたいものです。
ちなみに、藤原文雄先生(国立教育政策研究所)は事務職員の校務運営参画を「勤務校の経営方針・教育活動の内容について提案し教職員と協働して問題解決する」こととして、“口出し”と表現されています。まずはいろんなところに口出ししてみませんか。
前田先生からコメント
事務職員の標準的な職務にも示された学校教育におけるICTについて、事務職員の視点から捉えた書籍『教育ICTがよくわかる本』の発行に携わらせていただきました。それぞれに現場で実践されている事務職員の素晴らしい取組も載っています。学校の現状や、取組の背景、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、取組を通して実践者が学んだことなど、読み手にとって考えを広げてくれる本であると強く感じています。事務職員のみなさんの学びのきっかけとなること、そして、事務職員以外の方々には、事務職員との協働や、事務職員の活用を促進していただくきっかけとなることを期待しています。


